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障害福祉の勤務形態一覧表をAIで下書きする 常勤換算に入れる時間と人員配置の判定は人が決める

障害福祉の勤務形態一覧表をAIで下書きする 常勤換算に入れる時間と人員配置の判定は人が決める

常勤換算は、職員の勤務時間を合計して、常勤の職員が勤務すべき時間数で割る計算です。式は単純なので、翌月の勤務表から勤務形態一覧表を作るとき、生成AIに計算させたくなります。

ただ、人員配置の答えを左右するのは、割り算よりも、どの時間を計算に入れるかの決まりです。サービス管理責任者が作業の支援に入った時間、同じ法人の別の事業所で働いた時間、週30時間で働く非常勤の職員の時間は、国の解釈通知の決まりに沿って数えます。決まりを渡さずに頼むと、足りていない配置でも、AIが「満たしています」と答えることがあります。AIには人が決めた前提を先に渡して一人ずつの計算の式を書かせ、満たしているかどうかは管理者が解釈通知と照らして判断します。この記事では、架空の就労継続支援B型の4週分の勤務を例に、頼み方と確かめ方をたどります。人数の基準やサービス管理責任者の兼務の扱いはサービスの種類で違うため、記事の数字は就労継続支援B型の例に限ります。

常勤換算の答えは、計算に入れる時間の決まりで変わる

運営基準は、常勤換算方法を「事業所の従業者の勤務延べ時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定めています(第2条第16号)。就労継続支援B型では、職業指導員と生活支援員の総数を、常勤換算方法で、利用者の数を10で割った数以上置きます。職業指導員と生活支援員はそれぞれ1人以上で、どちらかの1人以上は常勤です。サービス管理責任者は、利用者60人以下なら1人以上で、1人以上は常勤です。ここでの利用者の数は前年度の平均値で、新たに指定を受ける場合は推定数によります(第186条。第199条で就労継続支援B型に準用)。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第2条・第186条・第199条(e-Gov法令検索)

どの時間を数えるかは、国の解釈通知に書かれています。この記事に関わるのは、次の点です。

  • 常勤の職員が勤務すべき時間数は、事業所で定めた時間です。1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は、32時間を基本とします。
  • 勤務延べ時間数は、勤務表の上で、サービスの提供や準備などに従事する時間として明確に位置づけた時間の合計です。その事業所のサービスに従事する時間に限ります。
  • 一人の職員について計算に入れられる時間は、常勤の職員が勤務すべき時間数が上限です。
  • 母性健康管理措置や、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮等の措置、治療と仕事の両立のための短縮措置を受けている職員は、30時間以上の勤務で、常勤換算の計算上1として扱うことができます。措置を受けていない週30時間の非常勤の職員は、この扱いになりません。
  • サービス管理責任者は、支援に支障がない場合は他の職務に従事できます。ただし、その職務の常勤換算に、サービス管理責任者の勤務時間を入れることは原則としてできません。利用定員20人未満の事業所には例外があります(生活介護の節。就労継続支援B型の解釈は、この節を参照する形で書かれています)。

厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(令和7年3月31日改正の新旧対照表、PDF)13〜16ページ・84ページ・107〜108ページ・188〜189ページ・199ページ

就労継続支援B型の基本報酬は、従業者の員数が利用者の数を6、7.5、10で割った数以上かどうかで区分が分かれます(留意事項通知288〜289ページ。通知へのリンクは、後の減算の段落にあります)。基準より多い配置を求める区分を算定している事業所は、その区分の配置でも同じように確かめます。この記事の例は、基準の10で割る配置で計算します。

勤務表そのものについても、解釈通知は、原則として月ごとに作るよう求めています。勤務表では、職員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係などを明確にします(就労継続支援B型にも準用される第68条「勤務体制の確保等」の節、97〜98ページ)。勤務形態一覧表の様式は、指定を受けた都道府県や市ごとに違うことがあります。様式の書き方は、指定権者の資料で確かめてください。

前提を渡さずに頼むと、AIは「満たしている」と答えることがある

ここからは、架空の就労継続支援B型を例にします。実在の事業所ではありません。利用定員30人、前年度の平均利用者数は27.4人です。就業規則で、常勤の職員が勤務すべき時間数を週40時間、4週で160時間と決めています。翌月4週分の勤務の予定は次のとおりです。管理者は別の事業所の業務と兼ねているため、例から省きます。

翌月4週分の勤務の予定(架空の就労継続支援B型。名前は記号に置き換えてある)職員A サービス管理責任者 常勤 160時間(うち40時間は、午後に作業の支援に入る)
職員B 職業指導員 常勤 160時間
職員C 生活支援員 非常勤(週30時間) 120時間
職員D 生活支援員 非常勤 64時間
職員E 職業指導員 非常勤 この事業所80時間、同じ建物にある同じ法人の生活介護120時間(合計200時間)

この表をAIに貼り、「常勤換算を計算して、人員配置基準を満たしているか教えて」とだけ頼むと、次のような答えが返ることがあります。説明のために作った想定の文で、実際のAIの出力ではありません。

常勤換算(4週160時間で計算)
職員A 40時間(作業の支援)÷160=0.25
職員B 160÷160=1.00
職員C 週30時間以上のため常勤扱い=1.00
職員D 64÷160=0.40
職員E 200÷160=1.25
職業指導員と生活支援員の合計 3.90
必要数 利用定員30人÷10=3.00
人員配置基準を満たしています。

解釈通知と照らすと、四か所が違います。

  • 利用者の数: 利用定員の30人で割っています。基準の利用者の数は前年度の平均値なので、この事業所では27.4人で、必要数は2.74です。
  • 職員A: サービス管理責任者が作業の支援に入った40時間を入れています。利用定員20人以上のこの事業所では、入れられません。
  • 職員C: 週30時間を常勤扱いの1にしています。30時間で1として扱えるのは、育児・介護などの短時間勤務の措置を受けている職員です。職員Cは措置を受けていないので、120÷160=0.75です。
  • 職員E: 生活介護の120時間まで入れ、一人の上限の160時間も超えています。入れるのは、この事業所のサービスに従事する80時間で、80÷160=0.50です。

数え直すと、1.00(職員B)+0.75(職員C)+0.40(職員D)+0.50(職員E)=2.65です。必要数の2.74に0.09届きません。AIの答えは「満たしています」でしたが、この予定のままでは、職業指導員と生活支援員が足りません。

この想定の例で、AIは割り算を間違えていません。どの時間を入れるかの決まりを知らされないまま、勤務表の数字を足しています。「常勤扱い」のように、根拠の書かれていない一言も入っています。職員A・C・Eの数え方の違いは、どれも合計を大きくする向きでした。利用定員で割った違いは必要数を大きくする向きでしたが、合計の増え方がそれを上回り、答えは「満たしています」になりました。答えだけを見て安心すると、気づけない形です。

AIには、人が決めた前提を先に渡し、一人ずつの計算を書かせる

AIに頼む前に、人が決めておく前提は次の五つです。

  1. 常勤の職員が勤務すべき時間数(就業規則の時間。この例では4週160時間)
  2. 前年度の平均利用者数(前年度の利用者延べ数を開所日数で割り、小数点第2位以下を切り上げた数。この例では27.4人)
  3. 計算に入れる職種と入れない職種(この例では職業指導員と生活支援員を入れ、サービス管理責任者と管理者は入れない)
  4. 職員ごとの、この事業所の時間(別の事業所の時間は分けて書く)
  5. 短時間勤務の措置を受けている職員(いれば「措置あり」とだけ書く。この例ではいない)

前提の2の平均利用者数は、前年度の実績から人が計算します。もとにした延べ数と開所日数も控えておきます。計算の単位(4週か暦月か)や常勤の時間数の書き方は、指定権者の勤務形態一覧表の様式に合わせます。

AIに渡す勤務の予定は、名前を記号に置き換えます。職員の勤務の情報も個人情報です。短時間勤務の理由(育児、介護、治療など)は書かず、「措置あり」の印だけにします。ただ、記号に置き換えても、職員の少ない事業所では、職種・勤務時間・兼務先の組み合わせから誰のことか分かる場合があります。記号に置き換えるのは対策の一つで、それだけで入力してよいことにはなりません。個人情報保護委員会は、事業者が生成AIサービスに個人情報を含む指示を入力する場合、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう注意を促しています。本人の同意なく入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われると法令違反となる可能性があるとして、機械学習に使われないことなどを確かめるよう求めています。個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日、PDF)2ページ

どのAIサービスに、どの項目まで入れてよいかは、AIサービス側の入力情報の扱いも確かめたうえで、法人が決めて認めた範囲に限ります。決まっていないうちは、この記事の架空の勤務で頼み方を試します。認められたサービスに、次のように頼む想定です。

障害福祉サービス(就労継続支援B型)の、翌月4週分の常勤換算を計算します。
下の前提と勤務の予定だけを使って、計算してください。
前提:
・常勤の職員が勤務すべき時間数: 4週160時間
・前年度の平均利用者数: 27.4人(必要数はこの数を10で割る)
・計算に入れる職種: 職業指導員、生活支援員
・計算に入れない職種: サービス管理責任者、管理者(作業の支援に入った時間も入れない)
・短時間勤務の措置を受けている職員: いない
守ってほしいこと:
・職員ごとに「計算に入れる時間÷160」の式と答えを、小数第2位まで一行ずつ書く。
・入れるのは、この事業所の時間だけ。別の事業所の時間は入れない。
・一人の時間は160時間までにする。
・前提にない扱い(常勤扱い、みなし、など)を足さない。分からない点は「確認が必要」と書く。
・職業指導員と生活支援員の合計と、必要数を書く。基準を満たしているかどうかの判断は書かない。
勤務の予定:
(職員の記号、職種、常勤・非常勤の別、この事業所の時間、別の事業所の時間を貼る)

次のように返ってくれば、確かめる材料に使えます。これも説明のために作った想定の文です。

職員A サービス管理責任者 計算に入れない(作業の支援の40時間も入れない)
職員B 職業指導員 160÷160=1.00
職員C 生活支援員 120÷160=0.75
職員D 生活支援員 64÷160=0.40
職員E 職業指導員 80÷160=0.50(生活介護の120時間は入れない)
職業指導員と生活支援員の合計 2.65
必要数 27.4÷10=2.74
確認が必要な点: なし

一人ずつの式があれば、どの職員の何時間を入れたかを、人が一行ずつ追えます。合計だけの答えでは、どこで数え方が違ったかが分かりません。

AIの数字は、解釈通知の定義と表計算で確かめる

AIの返答は、勤務形態一覧表に写す前に、次の順で確かめます。

  1. 前提の数字: 常勤の時間数が就業規則と同じか、平均利用者数が前年度の延べ数と開所日数から計算した数と同じかを見ます。
  2. 一人ずつの時間: 勤務表の予定の時間と、AIが式に使った時間を一人ずつ見比べます。別の事業所の時間が入っていないか、160時間を超えていないかを見ます。
  3. 入れない時間: サービス管理責任者や管理者の時間が入っていないかを見ます。
  4. 30時間の扱い: 「常勤扱い」「1として扱う」と書かれた職員がいれば、短時間勤務の措置の対象かを、就業規則や申出の記録で確かめます。
  5. 合計: AIが書いた合計を使わず、表計算で計算し直します。
  6. 人数の条件: 職業指導員と生活支援員がそれぞれ1人以上いるか、どちらかに常勤が1人以上いるか、サービス管理責任者に常勤が1人以上いるかを見ます。

満たしているかどうかは、この六つを確かめた管理者が判断します。判断した人と日付を、勤務形態一覧表の控えに残しておくと、翌月も同じ前提から始められます。

足りないと分かったら、組み直し方は管理者が決める

架空の事業所は、予定の段階で必要数に0.09足りませんでした。この予定どおりに勤務すると、人員基準を満たさない見込みです。実際に満たしたかどうかは、その月の勤務の実績で判断します。

留意事項通知では、職業指導員や生活支援員の数が、人員基準上必要な員数から1割を超えて減った場合、その翌月から解消する月まで、利用者全員について報酬が減算されます。1割の範囲内の減少では、翌々月から減算されます(翌月の末日までに人員基準を満たした場合を除く)。令和8年5月28日の改正で、突発的で想定が困難な事情による1割の範囲内の減少について、職員の確保の取組などの条件をすべて満たし、都道府県に報告した場合に、年1回に限り減算を猶予する規定が加わりました。勤務の予定の段階で分かっている不足を、この猶予に当てはめて考えることは避けます。当てはまるかどうかは、指定権者に確かめます。減算は、適用される月から3か月未満は所定単位数の100分の70、連続して3か月以上は100分の50です。所定単位数は、各種加算をする前の単位数です。サービス管理責任者が欠けた場合や、常勤・専従などの要件を満たさない場合の扱いも、同じ通知に書かれています。通知は、事業所に人員欠如の未然防止を図るよう求めています。厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(令和8年5月28日改正の新旧対照表、PDF)21〜25ページ・288〜289ページ

架空の事業所の不足は0.09で、必要数2.74の1割(0.274)の範囲内です。

勤務の予定の段階で気づけば、月が始まる前に組み直せます。架空の事業所なら、たとえば職員Dの勤務を4週で16時間増やすと、80÷160=0.50になり、合計は2.75で必要数に届く計算です。ただ、職員Dが働ける日や時間、ほかの職員の勤務、作業の支援の体制によっては、別の方法がよい場合もあります。

  • 非常勤の職員の勤務時間を増やせるか
  • 兼務の職員の時間の割り振りを、この事業所に寄せられるか
  • 採用や応援の手配が必要か

どれを選ぶかは、利用者一人ひとりの利用日や必要な支援と、職員の事情を確かめたうえで、管理者が決めます。AIに「どうすれば満たせるか」を聞くと、職員の希望や体調に関係なく、時間の足し算だけの案が返ることがあります。案を聞いた場合も、決めるのは管理者です。判断に迷う扱いは、指定を受けた都道府県や市に確かめます。

月が終わったら、出勤簿などの実績でも同じ計算をします。急な欠勤や応援で、予定と実績が変わることがあるためです。

翌月の勤務表を作る日に、前提の五つを先に書く

勤務形態一覧表の常勤換算をAIで下書きするなら、計算させる前に前提を書いて渡し、一人ずつの式を書かせます。満たしているかどうかは、解釈通知の決まりと表計算で確かめたうえで、管理者が判断します。取りかかる順番は、次の三つです。

  1. 翌月の勤務表を作る日に、前提の五つ(常勤の時間数、前年度の平均利用者数、入れる職種と入れない職種、職員ごとのこの事業所の時間、短時間勤務の措置の有無)を書き出す。
  2. 名前を記号に置き換えた勤務の予定と前提を、法人が認めたAIサービスに渡し、一人ずつの式を書かせる。条件が整わないうちは、架空の勤務で試す。
  3. 六つの観点で確かめ、合計は表計算で計算し直す。足りなければ、月が始まる前に管理者が組み直す。

振り返るときは、翌月の勤務形態一覧表で、AIの答えと人が確かめた答えが違った職員と、その原因になった決まりを見ます。同じ違いが続くなら、頼み方の前提に書き足します。

法人に複数の事業所があり、職員が事業所をまたいで兼務していると、職員ごとの時間の切り分けから手間がかかります。短時間勤務の措置の対象者を誰が把握しているか、AIに入れてよい勤務の情報をどこまでにするかも、人事と現場で受け持ちが分かれていると、決まるまでに時間がかかります。

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