ケアプランAIと個別支援計画AIの現在地、次の面談に生かすには

ケアプランAIのニュースを見て、自事業所の個別支援計画にも使えるのか気になっていませんか。計画づくりを支えるAIは、介護と障害福祉の双方で案内されています。ただし、対象業務や提供段階は同じではありません。
個別支援計画は、一人ひとりの支援の目標や内容をまとめる計画です。AIを取り入れるなら、本人の希望と記録を整理し、次の面談で確かめることを残す使い方から考えてみてください。公式情報で動きを確かめたうえで、架空のメモを使って準備の流れを示します。
ケアプランAIの発表は、対象と提供段階を分けて読む
自事業所で使う場面を考えるときは、「誰の、どの計画を支援する機能か」を先に確かめます。以下は2026年9月21日に確認した公式情報の例です。市場全体の普及状況や製品の優劣を示すものではありません。
- ウェルモは2026年6月18日の発表で、ミルモプランをケアマネジャーの相談援助業務を支える製品として紹介しています。同社は、AIが業務を支え、最終判断は人が行う方針を示しています。ウェルモの発表
- オムロンは2026年7月7日、地域包括支援センター向けの「ハレクルWith」に、AI機能「With.Ai」を2026年度中に搭載する予定と発表しました。発表時点では開発中の仕様で、変更の可能性も記されています。この記事では提供開始済みとは扱いません。オムロンの発表
- 障害福祉向けのケア・オールも、公式サイトでAIによる個別支援計画の作成支援を案内しています。自事業所のサービス種別や契約で使える範囲は、提供元への確認が必要です。ケア・オールの機能案内
こうした情報から、計画の文章づくりや準備を補助する選択肢は確認できます。一方、機能の案内だけで、自事業所の計画が適切に作れるかまでは判断できません。
紹介記事を職員に共有するときも、製品名の横に「対象業務」「提供中か予定か」「まだ確かめていないこと」を添えておくと、検討の前提が伝わります。
介護向けの機能を、個別支援計画へそのまま当てはめない
介護のケアプラン作成を支える機能が、自事業所の個別支援計画の様式や作成手順にも合うかは、別に確かめましょう。障害福祉向けの製品でも、対応するサービスや出力範囲を確認します。
デモを見るなら、次の点を自事業所の仕事と照らし合わせてください。
- 入力するのは、日々の記録か、面談で聞いた内容か、すでに検討した目標か。
- 出力するのは、情報の整理か、原案の文章か、既存計画の点検結果か。
- 本人の希望と家族・職員の意見を、出所が分かる形で残せるか。
- 確認できていない内容を、決定事項のように埋めていないか。
厚生労働省の意思決定支援ガイドライン第2版は、本人の意思や選好(好み)が周囲の判断に置き換わらないことを重視しています。また、意思決定支援で確認した本人の意思を、個別支援計画などに反映する考え方を示しています。ガイドライン本文・冊子11、22ページ
この考え方を踏まえ、AIには面談前の材料整理を頼み、本人と確かめることは残しておく。ここからは、そのための運用案です。計画の作成・確認は、各サービスに適用される基準と事業所の手順に沿って進めます。
「本人は見てから決めたい」を残す練習
本人と家族の希望が違うメモを、ひとつの目標にまとめてよいでしょうか。まずは違いをそのまま残し、本人と確かめる事項にしましょう。
以下は、実在の人の情報を使わない練習用の架空例です。特定の製品で試した結果ではありません。事業所で使用を認められた環境で、次の指示を試す想定です。
入力するメモと指示
計画全体の作成を頼む前に、メモを発言者ごとに整理します。
次の架空メモだけを使い、面談の準備メモを作ってください。 計画や目標は決定しないでください。 出力は「本人の言葉」「家族の言葉」「観察した事実」 「まだ分からないこと」「面談で確かめること」に分けてください。 各項目に元メモの番号を付け、根拠がなければ「不明」としてください。 気持ちや原因を推測して足さず、希望を一つに統合しないでください。本人:「新しい活動は、まず見てから決めたい」 家族:「新しい活動にも参加してほしい」 職員の観察:活動の案内を本人に渡した。見学する日も、参加するかどうかも決まっていない。
実際の利用者の記録を、この練習に貼り付けないでください。個人情報保護委員会は、個人情報を入力する場合に、特定した利用目的の達成に必要な範囲かを確認するよう注意喚起しています。本人の同意なく個人データを入力する場合には、提供者が機械学習に利用しないこと等の確認も求めています。PPCの注意喚起・2ページ(1)
実務へ移す際は、個人情報保護法と事業所の運用規程に基づき、入力範囲と契約・設定を確認します。名前を置き換えるだけで安全に入力できるとは限りません。判断が難しい場合は、管理者や個人情報の担当者を通じて専門家へ確認してください。
想定する出力と、採用しない出力
次のように整理されれば、どの記述を確かめるかを追いやすくなります。これは説明のために作った想定出力です。
- 本人の言葉:「新しい活動は、まず見てから決めたい」(1)
- 家族の言葉:「新しい活動にも参加してほしい」(2)
- 観察した事実:活動の案内を本人に渡した(3)
- まだ分からないこと:見学日、参加するかどうか(4)。本人が見学で何を確かめたいかは不明。
- 面談で確かめること:見学で知りたいことはあるか(1からの確認案)。日程はどうするか(4からの確認案)。
一方、「本人も参加を希望しているので、参加を目標にする」という出力は採用しません。家族の希望が本人の希望に置き換わり、まだ決まっていない参加が目標になっているためです。
「この希望を話したのは誰か」と、元メモの番号へ戻って確認してください。出典番号が付いていても、その内容を正しく表しているかは職員が照合します。
下書きを職員で確かめ、面談へ渡す
共有するのは、AIが作った文章の全文ではなく、照合して採用した材料と確認事項です。事業所の計画作成を担当する職員が、記録を知る職員と一緒に次を確認する運用を提案します。
- 本人・家族・職員の発言や観察が取り違えられていないか。
- 不明だった内容が、理由や目標として補われていないか。
- 面談で聞く案が、本人の答えを決めつける質問になっていないか。
確認できたものは「面談準備用」と分かる形で保存し、確定した計画と区別します。確認した人と日付を残し、閲覧は業務上必要な職員の範囲に限定してください。元の記録も、事業所の保存ルールに従って照合できる状態を保ちます。
発言者を確かめられない、記録同士が食い違う場合は、AIに一つの答えを選ばせません。該当箇所の採用を保留し、記録者や本人に確かめる事項として残します。修正を重ねても混同するなら、その部分は手作業に戻しましょう。
面談では、準備した質問を順番に読み上げることが目的にならないようにします。本人が理解しやすい伝え方や、話しやすい場面を選び、言葉以外の表現も大切にしてください。AIの文章は、本人の意思を確認した証拠にはなりません。
一度試したら、準備・確認・修正にかかった時間と、取り違えの有無を振り返ります。面談で確かめたい点が明確になったかも、続けるかどうかの判断材料です。
次の面談に残す確認事項を、一つ作る
ケアプランAIの動向を追うときは、対象業務と提供段階を確かめ、どの準備に生かせるかを考えてみてください。まずは架空メモで、本人の言葉と未決定の内容が残るかを照合するところから始められます。
日々の記録が複数の場所にあり、計画担当者が何を集めて誰に確認すればよいか決まらない。そんな場合は、入力文の工夫に加えて、記録を集める流れと確認の分担を整理する必要があります。
株式会社サクポートは、業務フローの整理からAI活用の設計・試作・運用定着を支援しています。相談では「計画作成前に記録を集める負担と、下書きの確認分担を整理したい」のように、困っている工程をお伝えください。利用者の個別記録を送る必要はありません。